「土日は対応しません」教員を守り保護者に協力を求める校長の手紙が管理職としてすごいと話題に!
あなたは学校の先生と聞くと一番にどんなことを思い浮かべますか?「大変そう」と思う人も少なくないでしょう。実際に残業代もない、休日出勤も多い職種なので、「大変」という言葉では足りないくらいです。そんな職場の環境を改善するために校長先生がとった行動が話題になっています。
管理職Lv.99の校長先生の学校だよりを見つけて興奮しています#教師のバトン pic.twitter.com/fFOnRlHcXd
— ray (@ray99131855) January 13, 2023
話題になったのは「子どものための働き方改革」と書かれたプリント。内容は保護者に向けられたものです。
子どものための働き方改革
校長
「申し訳ないんだけど、お客さんが来るから、休憩時間も昼ごはん食べながら接客してもらえるかな、当分の間。」「悪いなあ、退勤時刻、過ぎちゃうんだけど、夜6時にお客さん来るから残って対応してくれるかなあ、残業代は出せないけど…。」フルタイムで働いている仕事先で、毎日のように、こう頼まれたら、皆さんはどのように感じられるでしょうか?
実は長年、学校では、このような実態がありました。中学校で英語を教えていた時期、私は担任だけでなくバドミントン部の顧問もしていました。夕方の休憩時間はまさに部活動の真っ最中で、休憩時間などという発想自体ありませんでしたし、それが当然という風潮でもありました。翌日の授業の準備は、部活動指導が終わる6時半ごろから遅くまで毎日やっていた覚えがあります。今思えば、それで満足のいく教材研究ができていたのか、担任学級の生徒たち一人一人と十分な話ができていたのかなど、おおいに疑問があり、当時教えていた生徒には申し訳のないことをしたと思っています。現在、働き方改革推進の下、文部科学省が部活動指導に対する改善に向けた具体的な働きをしてくれていることは、何よりありがたいと感じています。以前、学校だよりでもお伝えしましたが、教員は給食指導があるため、昼の時間帯に法令で定められた休憩時間をとることができません。これは、仕事の性質上、やむを得ないことです。代わりに、休憩時間を放課後の15:45~16:30に設定し、この間は自由に職場を離れたり、休憩をとったりすることが認められています。また、教員は、法令により、通常の勤では残業の制度自体がないため、勤務時間外や休業日に仕事をしても手当などはつきません。
しかしながら、朝や夜、土・日曜日など、勤務時間外も仕事を続ける教職員の姿があります。教職員の「子どもたちのため「……………」という思いは、今も昔も変わりません。しかし、心にも体にも余裕のない状態では、満足のいく教育活動ができないことは自分の経験からも明らかです。さらに時間の余裕がなければ、子ども一人一人との満足のいく交流もできません。教職員が心や体、時間に余裕をもって仕事ができれば、個々の児童によりきめ細やかに対応でき、子どもたちにも、大きなメリットとなります。すでに多くの保護者・地域の皆様にお気遣いいただいているところですが、あらためてのお願いです。
○教職員の勤務時間は、原則、8:15~15:45 16:30~16:45(校長・副校長・事務職職員等は、8:15~12:1513:00〜16:45)です。これ以外の時間は、勤務を要しない時間です。教職員本人の承諾や事前の約束緊急時や特段の事情がある場合を除き、原則、この時間帯以外(勤務時間外)に、教職員を訪ねたり、電話をしたりすることはご遠慮ください。保護者の皆様は、欠席等の連絡にはタブレットもご活用ください。(時間外の電話についましては、翌日以降の折り返しになる場合があります。)また、土・日・祝日などの休業日は、学校に教職員がいても、原則、対応はできません。施設管理員に声をおかけください。(緊急の場合は施設管理員から管理職に連絡が入ります。)
○学校におけるお子様のご相談(学習面、生活面等)は、担任などがいつでもお受けします。お気軽にご相談ください。しかしながら、学校外や保護者の方の個人的な問題(家庭内問題、夫婦間問題、保護者同士の関係の問題等)は、学校で扱う範嘩外のご相談です。必要に応じて、カウンセラーや関係機関をご紹介できますので、そちらにご相談ください。
○登下校を含む学校管理下(教育活動中)で生じたこと以外については、原則、学校では対応できません。下校後にご家庭や地域で生じた問題やトラブルについては、学校ではなく、関係するご家庭や店舗、児童の活動を管理している地域団体もしくは状況に応じて児童相談所、子ども家庭支援センター、消防署、警察署等の関係機関にご相談、ご連絡ください。
○学校では、限られた人的資源物的資源を有効に活用しながら教育活動を行っています。多くの児童の指導を限られた数の教職員で行っているため、教職員が特定のお子さん一人だけに常時付き添うことはできません。安全上、必要な場合には、保護者の方が保護者の方が依頼した代理の大人の方に常時見守りをお願いいたしますので、ご協力をお願いいたします。
子どもたちの学びを保障し安全を守ると同時に、教職員の労働環境を整備し、より良く働ける状況を作るべく「学校における働き方改革」を強力に進めることは、学校経営を担う枝長の貴勝だと考えています。また、最近は、就職活動をする大学生の間で、教職がブラックな(過酷な環境下にある)職業として敬遠されていると聞きます。これほどやりがいのあるすてきな仕事であるのに、教育に対して熱意のある学生が教師になる入口(教員免許取得や採用選考)で入ることをためらうような状況は、10年、20年先の日本の教育に大きな影響をもたらしかねません。国や都働き方改革推進の施策を踏まえ、保護者、地域の皆様のご理解とご協力をいただきながら、子どもたちへのより良い学校の教育環境を整えていけるよう、これからも努力を惜しみません。どうぞよろしくお願いいたします。
「申し訳ないんだけど、お客さんが来るから、休憩時間も昼ごはん食べながら接客してもらえるかな。当分の間」と毎日のようにフルタイム勤務で働いていて頼まれたらどう感じますか?という問いかけから始まります。
その後、学校教員の過酷な労働環境を伝える文章が続きます。「残業代はない」「昼食は給食指導をする必要があるため昼休憩話」「部活動指導で満足に生徒指導に時間がさけず深夜まで残業」・・・。
そして「教職員が心や体、時間に余裕を持って仕事ができれば、ココの児童によりきめ細やかに対応でき、子供たちにも、大きなメリットとなります」と伝え、保護者にお願いをするのです。
内容としては勤務時間を明確に提示し、対象外の時間に電話や訪問をしないでほしいということ、土日祝は教員がいても対応できないということ、下校後のトラブルは学校では対応できない事、学校外の問題は対応できないということを列挙しています。
この内容には「秀逸だ」「教員にも休憩があることを伝えようとしてくれてるね」「こういう校長のもとで働きたい」「本質的な子供のための施策だね」と称賛の声が集まっています。
一見当たり前のことを列挙している様に見えましたが、これを伝えるということは、今まで当たり前のように時間外に訪問したり、休日に連絡が来ても対応していたということですね。
一般企業では考えられないことですが、教職ではいまだにこれが「普通」とされています。未来の子供たちを育ててくれる貴重な人材だからこそ、大事にし、心に余裕を持った状態で児童、生徒を指導してほしいですね。
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この校長先生に拍手・応援です。これがあれば私は辞めなかったかも…。
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文科省がこのような文書を全国に出してくれると現場は助かります。
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これでいいのよ
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教育委員会という組織が発信するべきことをこの校長先生は勇気を持って学校だよりで外部に伝えてくださったことに敬意を表します。教員の働き方改革は急務だと思います。
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